ByLPOとは?

私たちは、藻類によってPOMEを価値あるものに変えていきます。
そして、それをByLPOと呼ぶこととしました。

世界最大のパームオイル生産国であるインドネシアには、875を超える生産工場があります。これらの工場は、1日当たり455,000MT(m3)(25mプール約910個分)を超える大量のPOME(Palm Oil Mill Effluents)を排出しており、この処理が課題となっています。POMEはBOD(生物化学的酸素要求量)値が高く、水質汚濁や温室効果ガス発生の温床として、重大な環境・経済問題になっていましたが、有効な解決策が見つかっていませんでした。

私たちはそれを解決する手段として、微細藻類に着目しました。

パームオイル生産工場からの廃液は、藻類生育に必要な栄養源となります。藻類が利用することでBODが低減され、水質が改善されます。さらに、藻類から抽出されるDHA含有オイルが新たな利益をもたらします。

私たちは、パームオイル生産工場から排出されるPOMEを、単なる廃液ではなく藻類の生育を促す有価物と捉え、パームオイルの副産物”ByLPO“と呼んでいます。

藻類技術で環境問題・経済問題を解決していきます。

藻類の可能性

私たちは、微細藻類のもつ無限ともいえる可能性をSDGsで考えました。

微細藻類は、一般的には水中に存在する顕微鏡サイズの藻です。その多くは陸上植物と同様に太陽光を利用し、二酸化炭素を固定して炭水化物を合成する光合成を行います。一方、光合成を行わないタイプの微細藻類は、周囲から有機物を吸収して増殖してゆきます。

微細藻類利用の歴史は古く、近代では、光合成を行う藻類であるクロレラやスピルリナなどが健康食品として愛用されてきました。

2010年頃から世界中で石油代替燃料開発の必要性が叫ばれ、食糧生産と競合しにくいバイオマスとして微細藻類が大きな注目を浴びるようになりました。ここ数年は、健康食品の他、化粧品、医薬品など幅広い分野へ利用され始め、消費者の目にとまる機会が多くなりました。

更に微細藻類の培養には、下水や産業排水、火力発電所や工場の排ガスや排熱といった環境負荷をもたらす物質が有効です。このような不要物の処理と有用物の生産とを両立できることから、持続可能な開発の観点からも期待が高まっています。

※SDGs:Sustainable Development Goals (持続可能な開発目標)の略。2015年9月の国連サミットで採択された2030年までの国際目標。

「持続可能な開発目標」(SDGs)

食品 や飼料としての利用

目標2: 飢餓をゼロに 目標3: すべての人に健康と福祉を 目標14: 海の豊かさを守ろう昨今、大きく注目されている機能性脂質DHAは、光合成を行わない藻類を利用して生産することができます。現在のDHAは、その供給を魚由来のものに頼っています。私たちは、2020年に世界のDHA消費量が年間255,000MT(m3)に達すると試算しており、漁獲量の増加や乱獲、水産資源の枯渇問題に発展することが懸念されます。

魚油から精製されるDHAも、価格の高騰や入手困難な状況が危惧されます。

前述のように古くからクロレラやスピルリナが愛用されてきた理由は、これらの藻類が食物繊維やβカロチン、良質なたんぱく質を含有しているからです。

私たちは、藻類から抽出されるDHA含有オイルに注目し、高品質DHA、PC-DHA(リン脂質DHA)、さらに魚介類のDHA含有量を引き上げる水産飼料や、PC-DHAを含有する鶏卵を生み出す畜産飼料の生産技術開発を進めています。

これらの技術により、DHAの安定供給が可能となると同時に、水産資源の維持に貢献できると考えます。

環境保護

目標6: 安全な水とトイレをみんなに 目標13: 気候変動に具体的な対策を 目標15: 陸の豊かさを守ろう世界最大のパームオイル生産国であるインドネシアは、大量のパームオイル生産工場廃液(POME)による環境問題に直面しています。

POMEは屋外の開放池であるラグーンに放出され、結果として嫌気処理されています。この過程で、地球温暖化の原因とされるメタンが排出されます。メタンは地球温暖化係数が高いため、その影響はインドネシアにおける総CO2排出量の約10%にも相当します。また、POMEはBOD(生物化学的酸素要求量)値が25,000~60,000ppmと高いため、河川等の水質汚濁や人間の生活環境の悪化、野生生物への悪影響など、その他の深刻な環境問題を引き起こしています。

しかしながら、藻類にとってPOMEは、生育に必要な栄養源です。私たちはこれをパームオイルの副産物としてByLPOと呼んでいます。光合成を行わない微細藻類の培養に活用することで、ByLPOが好気的に処理され、メタンを発生させることなくBOD値が減少します。

メタンの発生抑制や水質の改善により、私たちの生活に欠かせないきれいな水の確保、地球温暖化の抑制、さらには気候変動に起因する森林破壊の抑制につなげたいと考えています。

私たちがめざしていること

目標1: 貧困をなくそう 目標8: 働きがいも経済成長も 目標9: 産業と技術革新の基盤をつくろう 目標10: 人や国の不平等をなくそう 目標11: 住み続けられるまちづくりを私たちは、藻類の活用による、パームオイル生産工場からラグーンに放出されたPOMEにまつわる環境問題の解決と石油代替燃料の確保を目標に掲げています。

これは新しい技術革新への挑戦です。

インドネシア最大産業パームオイル産業において、パームオイルで得られる収益を上回る収益が藻類から得られるというパラダイムシフトを起こせるかもしれません。

大きな収益増は安定した雇用を生み、人々の生活を豊かにし、国家も豊かになります。

目標17: パートナーシップで目標を達成しようこれは、1企業では成し遂げられない目標です。多分野の研究や技術開発の統合、政府の援助が必要であり、しかもグローバルな視点で考えていかなければなりません。
私たちは、大学や企業と協働して技術開発を行い、その培養技術と生産技術を展開・社会実装する現地企業、資金を援助するグローバル企業、国家的枠組みを策定するインドネシア政府との協力を得ることで、目標を達成していきます。

私たちは藻類をとおして、SDGs達成に向け、チャレンジします。

DHA

藻類由来のDHAは、信念や宗教上の理由により魚を食べない人や、アレルギーなどの生理的な理由で魚を食べられない人も安心して摂取することができます。

DHA(ドコサヘキサエン酸)は、オメガ3脂肪酸に分類される、私たちの体を構成するために必要な栄養素です。
中でもリン脂質型のDHAは神経組織の重要な構成脂質で、特に胎児にとっては神経系器官の発達のために必須となる栄養素の一つといわれています。そのためDHAは多くの母乳代替食品に配合されています。

厚生労働省の報告では、1g/日以上のDHA摂取が推奨されています(18歳以上)。

現在、人間が摂取するDHAは、主に魚由来のものです。

日本人は元来、魚を食する食文化であるため、これまで必然的にEPAやDHAを摂取してきていました。しかし昨今は魚離れが顕著であり、日本人1人当たりの魚介類の消費量は、2001年度の40.2kgをピークに減少を続けています。2016年度の消費量は24.6kg、ピーク時の約6割です。
※純食料ベース、水産庁HP

一方、世界全体では魚の消費量が増加し続けており、1人当たりの食用水産物の消費量はこの50年で2倍以上に増加しています。特にアジアやオセアニア地域での増加が目立っています。それに併せて中国、インドネシア、ベトナム等の漁獲量が増大しており、中国が世界の19%を占めています。(参考:水産庁HP)

このような背景の中、DHA消費量は年々増加しており、2020年に世界のDHA消費量が年間255,000MT(m3)に達すると私たちは試算しています。DHA供給を魚だけに頼ることは、今後困難であると考えます。